(平松佑太、新谷正人、小川雄也)


ボランティアの意味・自己満足と相手本位

10/10~10/19 カンボジア訪問の感想)

NPO法人アジア交流協会
会員 平松 佑太

 私は以前テレビで見た「カンボジアでの井戸掘り」というものに興味を持っておりました。テレビの中で見た現地住民・子ども達の喜び・笑顔が忘れられず、時間さえあれば自分もやりたい、と思っておりました。

 2008年末に今まで勤めていた会社を退職し、公務員試験に挑戦しました。半年後合格し、2010年4月採用となったため、そこで仕事が始まるまでの約半年間、フリーな時間ができました。「このチャンスを逃せば必ず後悔する!!」と思い、以前インターネット上で見つけた「NPO法人 アジア交流協会」様宛にメールを送り、井戸掘りに参加させていただくことになりました。

 カンボジアでは見たもの、聞くことすべてが衝撃でした。カンボジアについて私が持っていた情報と現実のギャップを知り、そしてその現実の原因である歴史を知りました。現在の日本人がカンボジアについて知っていることの内の一部は、カンボジア自身、もしくは自らの利益を最優先する団体が作り上げた仮初めのカンボジアであるのだと思います。

 私が今回行ったのは主に学校訪問と日本語学校での日本語の授業、そして井戸掘りでした。
学校訪問では日本のあるテレビ番組の企画で建設された学校に行ってきました。その番組の中では感動的な場面が演出されておりました。「演出されて」いたのです。実際に現地に行き自分の目で現状を見てみるとよくわかりました。テレビでは「飲み水は困らなくなる」といい浄水器を設置しておりました。今までは飲み水を得るために数十分の道を歩いて汲みに行っていたことを聞いていたので、私も感動したものです。しかし、現実は浄水器3つのうち、正常に機能しているものは1つもありませんでした。今現在飲み水の確保について以前のように戻ってしまったようです。この他にもテレビでの情報と実際の現実とのギャップは数多くありました。確かに学校建設は素晴らしいことです。今回の企画には何の文句もありません。ただ、
本当に必要なことは「建てる」ではなく「維持する」ことだと感じました。これは当然のことですが、事実この学校ではこれが行われていないのです。学校の数についても、確かに少なくはあります。しかし、私が見て感じたことに、まったくないわけではありません。現実は学校があっても教師がいません。教師はスコールが降ると休んでしまいます。生徒数が少なく教室は余っております。今のカンボジア(特にコンポントム)には一時的で自己満足のボランティアではなく、アフターフォローを行う、相手本位のボランティアこそが必要だと感じました。

 私は趣味でギターの弾き語りを行っております。カンボジアには体育、音楽の授業がありません。そのため私は日本語学校で日本の歌を歌いながら日本語を覚える、といった授業を行いました。私がここで感じたことは、カンボジアの子ども達は勉強に対して非常に熱心に取り組むということです。私は教師の資格を持っているわけではありませんので日本語を教えるということなどまったくの初めての体験でした。決して教え方も上手くなかったと思います。それでも子ども達からは少しでも学ぼうと私の書く文字、話す言葉一つ一つを学び残さないような姿勢を感じました。音楽の授業というのが新鮮だったためということもあるのかもしれません。しかし、この日本人以上に熱心に取り組む姿には、教育制度、国のシステムに多くの違いこそあれ、子ども達は何も変わらないことを気づかせてくれました。
変わらなければならないのは制度、そして大人なのです。

 今回の滞在、最大の目的である井戸掘り。しかし、当初の予定通りにはいきませんでした。里子宅に掘るにも、雨季のため水が多くそこまで車が通れない、作業途中でスコールが降る、作業機械が次々と故障するなど多くのトラブルが起こりました。宿舎に掘った1基は完成しましたが、里子宅の2基目は最終的に時間が足りず里子宅の井戸は完成させることができませんでした。しかし、残りは現地スタッフのみで行えるところまで作業が進んだので、私としても多少の心残りはあるものの満足のいく結果にはなりました。

 私は井戸を掘ればきれいな水が手に入り、いいことだ。と簡単に思っておりました。しかし、カンボジアの現実はそんな簡単なものではありませんでした。井戸を掘った里子宅の里子は小学校を卒業したばかりの少女。その家族には確認した限りで母親、祖母、兄が2人おりました。しかし、その中で働いているのは里子の少女と祖母の2人だけ。母親は兄2人に甘く、昼間からお酒ばかり。兄2人は何もせずフラフラしているだけ。この様な状況で井戸を掘るとどのようなことが起こるのでしょうか。乾季になれば村からは水がなくなります。本来その村の皆で使ってほしいものを母親が村の住民に対し、井戸の水を売ってしまう可能性があります。それで確かに生活は多少楽になり、少女の水汲みという負担は軽減されますが、これでは母親が得をするだけで本来の目的とは異なってきてしまいます。しかし、その意味で全てを改善しようとすると、他人の考え方を変えなければならなくなり、できることの限界を超えてしまいます。今回はそれでも
「少女の負担を軽くすることができる」ということを優先し、井戸を掘りました。

 私は今回の経験でボランティアに対する考え方が少し変わりました。
「ただお金を寄付する、ただ物を渡す、ただ井戸を掘る。これだけでは完全ではない。本当に大切なのはそれらをどう使うか、どう使ってもらうかだ。」これが私の感じたことです。里子の負担軽減を思って井戸を掘っても結局一番利益を得るのは母親。これは例えば各国が行っている寄付金、食糧支援でも言えることです。本当に支援を必要としている人たちに向けて私達は寄付をしているのに、それを利用してお金儲けをする人達がいるため、私達の想いは相手に届かないことがあります。しかし、私が今回現地に行って直接渡した支援は確実に相手に届いています。確かに規模は小さいですが、直接行けば相手からお返しに笑顔をもらうことができます。それは私自身に「確かにボランティアを行った」という実感を感じさせてくれます。その実感がまた私のエネルギーになるのです。人間1人に国を、制度を変えることはできません。できて周りの人達に手を差し伸べるくらいです。しかし、直接現地に行けば、その現地の子ども達にも手を差し伸べることができます。私は自分に不可能なことはしようとは思いません。自分にできることを自分の出来る範囲で精一杯やっていこうと思います。今回カンボジアにいったのも決して「すごい」ことではありません。少しのお金と勇気があれば誰でもできることです。自分の出来る範囲は自分が思っているよりも広いものだと思います。

 最後に。私はこのカンボジアの事実はもっと多くの人が知るべきだと感じております。知って、何かするわけじゃなくてもいい、ただ知っていれば知らなかったときとは少しだけ違う。まずは知る。そして考える。これができたとき自己満足ではない本当の意味でのボランティアができるのではと思います。

                  
            カンボジア井戸掘り研修報告と感想




                                     2009年10月26日
                                  NPO法人アジア交流協会
                                   正会員 新谷 正人


 NPO法人アジア交流協会の正会員のひとりとして、カンボジアの井戸掘りと学校、その他の現状調査に行ってきました。これまで過去4回、現地に行って来ましたが、雨季がこれほどまで酷いものか、とても貴重な経験をさせて頂きました。

 普段我々は、道路、鉄道、航空など交通網の主軸が麻痺すると、経済や仕事状況、生活環境に多大なるダメージを受けますが、まさにその通りで、家は洪水で流され、家を無くした人々は、小高い道端で生活し、学校は休校を余儀なくされ、生徒達は船で登校する現状を目の当たりにした時、ただただ呆然と立ち尽くし言葉を失いました。

 
そんな状況でも元気に登校してくる健気な子供達を見て、私も日本で頑張らなければいけないな、と勇気を与えてもらいました。

 井戸掘りは、コンポントム宿舎とロロス村のルーン・コラブ(里子)の2ヶ所に設置しました(別紙結果報告)が、深井戸用ポンプを設置することが目的だったので、前回の失敗をしないように作業工程を慎重に指示し記録して来ました。また、非常に粘性度の高い高分子ポリマーを使用しての掘削環境は、良好でしたが、設置ポンプの吸い上げ弁に与える悪影響などのデータを得られたことが今後の対策法として良い勉強になりました。掘削機械を酷使してのスイベル(駆動系部品)の故障、その故障から来る、送水ポンプの故障など、いかに、作業前、後の機械メンテナンスの大切さも今回実感させられ、現地での部品の足りなさや、修理の限界さも体験できました。ただ無いからと言って日本製の部品にこだわるのでは無く、
代用して作る発想の機転(カンボジア流)も勉強になりました。これは、「あったらいいなは、無駄。無ければ創意工夫する。」ことは、物事の考えの基本ではないかと思いました。今後、仕事にもこの発想を大切にしたいと思います。

 また、今回、
同行した平松祐太さん(25歳)の行動力と、発想のすばらしさに感心させられました。私は、過去、カンボジアに渡航経験のある人間として、もっと理事長をサポートし、時には前に出て指示できなかったことを反省しました。そして、今回の渡航の第一目的でもあった井戸堀について、井戸堀資料を再度読み直し復習しておくなどの準備をしなかった点は、一番の反省点であり、何事にも下準備の大切さを実感させられた事でした。以上の反省点は、次回の行動に生かしたいと思います。

 次に、テレビ放送された行列の出来る法律相談所のチャリティー募金で建設した「トロピアンクロサーン小学校」の感想について書きます。

 学校の現状報告の感想としては、確かに立派な校舎は建ちましたが、理事長が常日頃から言っている、
箱物だけでは人は育たない。と言うことでした。如何に人を育てる環境が大事なのかが、分かりました。教員の不足これは重大な問題で幾ら生徒が授業を受けたくても教員が不足していては、学校は、成り立ちません。カンボジア政府が至福を肥やすのではなく、これからカンボジア王国をにな担っていく人間を育てなければ、さつりく殺戮がないだけで、ポルポト政権時代と変わらないのではないのか?と思います。メンテナンスの点から言うと、食料配給・設備不備や飲料水、生活水など設備のずさん杜撰さなど、日本のマスコミの名誉、スポンサー収益によるお金儲け、自己満足に過ぎない事が分かりました。もしも、1億からの募金か集まったのなら、長い期間学校や子供達を支援して行くのが道理ではないかと憤りを感じました。地道では、有りますが、理事長の行っている教育支援は確かなものであり、私は、これからも微力ではありますがご協力させていただこうと思います。今回の貴重な経験・体験を仕事や生活に生かして行きたいと思います。


         
      ロロス村へ向かう悪路の風景       日本語学校で一所懸命に教える平松君

         
       スイベルの修理風景         日が暮れても掘り続けた井戸堀(22.45m)

         
      トロピアン小学校の風景        小学校にある井戸・ため池(非常に汚い)

参照資料
井戸堀データ
【1・宿舎】掘削15.85m・ケーシングパイプφ100mm 4本挿入(4m×1本スリット付)深井戸用ポンプ設置完了

               

【2・ロロス村・ルーン・コラブ宅】
掘削22.45m・ケーシングパイプφ100mm 5本挿入(4m×2本スリット付)まで、深井戸用ポンプ未設置


              

                                    
                                    平成21年10月26日
                                  NPO法人アジア交流協会
                                        賛助会員
                               
              カンボジア井戸堀り研修レポート



はじめに

NPO法人アジア交流協会の会員として10月11日〜19日のカンボジア訪問での、カンボジアの状況や井戸の掘削作業について感想等を報告します。今回はNPOホームページを見て参加する事になった、平松裕太さん(愛知県在住25歳)も同行しカンボジアへ訪問しました。

・プノンペン
ドライバーのモニー氏の車でプノンペン市内を見にいきました。カンボジアの交通事情は無法地帯で対向車線からの追い抜きや信号無視は当たり前だそうです。その中でも特に目立ったのがバイクの多さです。70%は無免許と知りとても驚きました。運転手はヘルメットをしないと警察に捕まるそうですが、2〜4人乗り、同乗者のヘルメット無しが許されるのは、可笑しな話だと思いました。

プノンペンにあるツールスレイン収容所の見学にも行ってきました。元は学校で、ポルポト政権時代に主に拷問を目的とし使われていたそうです。拷問されるのは知識人(教師、医者、弁護士などが処刑の対象)等で、すぐには殺さず、他国と繋がりがある場合があるので拷問、将来ポルポトに対して抵抗運動を起こす可能性があるため、恨みを残さないために知識人の一族も皆殺しにしたそうです。実際に使われた拷問の道具や、簡易的に作られた牢屋など、そのまま残されていました。
    
       

自分が立っていた場所でこんなに残虐な事が行われていたと思うと、とても恐ろしく悲しい気持ちになりました。


・コンポントム
プノンペンからコンポントムの宿舎へ移動しました。宿舎へ向かう舗装されていない道を行くと、周辺の家々が水没していてとても驚きました。家が水没してしまい寺に住む人、道で寝る人、ボートで暮らす人もいました。現在は雨季だそうですが、こんなに酷くはならないそうです。日本語学校、宿舎の周辺も水没していました。

   

       

ロロス村に住んでいる里子ルーンコラブ宅へ井戸を掘る為に視察へいきました。ロロス村へ行く途中、道が水没しており思うように進めませんでした。なんとか到着しましたが、里子宅前の道が深い所で60p以上水没しており、歩いて里子宅までいきました。
なぜ里子宅敷地内に井戸を掘るかというと、ルーンコラブさんは毎日数百m先にある場所まで、何度も何度も、生活水を汲みに行っているそうです。本人は勉強したいらしいのですが、お母さんがそれを許さず、一家を支える為に働いているそうです。小学校を卒業後、学校には通っていません。(お父さんやお兄さんも働かず、ルーンコラブさんとおばあさんだけが働いている)生活が少しでも楽になればと、今回のカンボジア訪問で井戸を掘る事になりました。

   
       

・井戸掘削作業
13〜14日に宿舎敷地内で井戸掘削、17〜18日ルーンコラブさん宅で井戸掘削をしました。
井戸掘削手順を簡単ではありますが説明させて戴きます。

井戸掘削の流れ
1. 場所の決定
・掘削機は必ず水平、垂直に設置する。
・掘る場所の側に2つの穴を掘る(1の穴には掘った土砂が沈み、2の穴には1の穴から水が流れ込む。ここにポンプの吸水ホースを入れて循環させる)

   

2. 掘った穴に水を入れる(ベントナイト層、沈泥層)
3.ドリル付パイプを付け掘削
・掘削用ドリル付パイプ1.45m(ドリルφ110、φ160)、掘削用パイプ1.2m
・ 一本掘り進んだら、エンジンを上に上げ、パイプを付けさらに掘り進んでいきます。
(この作業を水の層に辿り着くまで繰り返します。)
・φ110で掘り進み、水の層に入ったらφ160に変更し掘り進みます。(穴を大きくする為)
    
        

4.水の層の見極め
・掘り進んでいくと、1の穴に溜まる土砂が粘土→砂に変わります。(砂が上がってきたら水の層に入った可能性があります)

        
          砂の層                  水の層

5.掘った穴が崩れないように内径φ100パイプを入れる
・ φ100スリット付パイプ4m、φ100パイプ4m
・パイプを入れ終わったら、パイプの周りに砕石を入れます。
    

        
       φ100スリット付パイプ       大人4,5人でやっとパイプが入ります


                            
                    砕石投入

6.ポンプ用のパイプ挿入、ポンプ本体設置
   

        


        


ルーンコラブさん宅での井戸掘削
・17日
ロロス村まで機材を運ぶ為、トラクターの荷台に荷物も積みロロス村へと向かいました。途中、トラクターが故障し、別のトラクターに変更し再度向かいました。出発から約3時間後、なんとか里子宅へ着き作業を開始したのですが、今度は水を送るポンプ2台の故障と、掘削する場所が悪く失敗に終わりました。
  

        

・18日
今度は掘る場所を変更し再び掘削を始めました。この場所(水の層に入ったが、挿入するパイプの大きさを誤り失敗している)は以前掘った場所という事もあり順調に進み、砂の層に入りました。しかし、不運は続きます。雨が降りはじめ、今度は掘削機のパイプを回す部分が、故障してしまいました。急いで修理に行き、3時間後作業を再開する事ができました。
ルーンコラブさんの家族や、地元の人々が協力してくれたおかげで、掘削を終える事ができました。暗くなってしまいポンプ設置はできませんでしたが、φ100パイプを入れる所までなんとかできました。(残る作業はポンプ用パイプ挿入とポンプ本体設置)後日、ソクティー氏と井戸堀り職人の方が最後まで完成させてくれるそうなので安心しました。


        

井戸掘削作業を終えて、改めて水の大切さを強く感じました。日本では蛇口を捻れば、飲み水が出るのが当たり前ですが、カンボジアではそうはいきません。地域によっては汚い水を飲んでいる人もいます。

『サマキ・トロピアン・クロサーン小学校』視察
(トロピアンとは、竹の子の意味とのこと。従ってトロピアンと名が付く地名は多々ある。)
この学校は、TV番組「行列のできる法律相談所」の企画で建てられた学校で、全校生徒は計380名、先生は5人。

放送内容では、国連からの3ヶ月に1回の食料支給、飲料水の確保、給食室がありゴミのない学校等の内容でしたが、実際は食料支給は来ない、飲料水は10km先でないと無い、給食室は無く、ゴミだらけの敷地、泥水の溜池から水を引いている機能を果たさない井戸。
先生は学校で寝泊り、給料の支給は遅れ、生きる為に授業をせず魚を獲っているそうです。
学校を作るのは大事だと思いますが、その後のアフターケアと学校へ通える状況を整備するのが最優先ではないかと感じました。TV番組企画の視聴率稼ぎになっているだけなのではないかと、悲しい気持ちになりました。
   
        


        
    
NPOアジア交流協会理事長とカイサナビ校長             壊れた井戸
       
(ノートの寄贈)



 カンボジア研修を終えて、
私はどれだけ恵まれた環境で生活しているかを再認識し、カンボジアの過酷な現実を自分の目で確かめることができました。
机上の業務だけでは感じることのできない貴重な経験のきっかけを与えて下さった、皆様に大変感謝しております。この経験を生かしこれまで以上に努力していきたいと思います。